TERADA HOUSE

杉並区/東京

世界各国のすぐれた家具を扱うインターオフィスの社長であり、建築家やデザイナーとしても活躍する寺田尚樹。彼が自ら建てた「TERADA HOUSE」では、モダンな名作家具がオプティミスティックな空気をつくっています。

大きく斜めに傾いた一方の壁と、階上へと伸びる軽快な螺旋階段。上の階にはヴァーナー・パントンの大作「リビングタワー」が鎮座し、キッチンカウンターとして使っているのはオレンジ色の「USMハラー」。明るい色彩があふれるこの空間は、2021年夏に完成した建築家の寺田尚樹の自邸「TERADA HOUSE」です。彼の好みを反映して、この空間には歴史的な名作家具がずらり。キッチンカウンターとしてUSMハラーを使うのも設計当初から決めていたといいます。


「この家を設計するにあたり決めたルールが、作りつけの家具を使わずに既製品の家具を取り入れること。普通は家具を建築化しようと考えますが、建築と同じ重みをもつものとして家具を選んでいったのです」と寺田さん。キッチンの場所が決まった段階で、USMハラーの位置やサイズが自然に定まっていきました。

「キッチンカウンターのUSMハラーについていちばん悩んだのは色でした。最初に上の階に赤いリビングタワーを置くことを決め、その背景を黄色に決めて、その下に置くものだから同系のオレンジを選びました。実は色の相性を考えて、上の階の黄色い壁はUSMハラーの黄色に、白い壁はハラーの白に合わせてあります」


インターオフィスで商材として扱うだけでなく、自身のアトリエや自宅でも長くUSM製品を使ってきた寺田さん。その経験が、パーツの構成にもさまざまに生かされました。


「この部屋にあるUSMハラーは、いちばん下にパーツを足して10cm浮かせた状態にしています。軽く見せる効果があるのと、掃除がしやすいという利点のためで、自動掃除機も入れる高さなんです。また上部には天板としてちょうどいいサイズにカットした人造大理石の板を載せました」

キッチンカウンターは、3段のうち最上段にはクリスタルのグラスなどをディスプレイ。ガラスの扉はシンメトリーにしています。またキッチン側にはテーブルウェア、キッチンツール、食材などを収納。引き出しのパーツを組み合わせたり、サイズの合うバスケットを活用したりと、使いやすいカウンターに仕上げました。


2段目と3段目はスタンダードな高さの35cmですが、グラスを入れた1段目は高さ25cm。単調に見えないように変化をつけました。ガラスのパネルやドアは、何か面白いことがないかなと考えて、キッチン側のみ透明オレンジのフィルムを貼っています」

キッチンの横には、キッチンカウンターと同じ高さのUSMハラーのキャビネットがあります。1段目はLED照明を内蔵したハラーEを水槽に見立てて、寺田さんの娘さんが好きなチンアナゴの人形をたくさん並べました。2段目は4段の引き出しがあり、家族3人の身の回りのものをそれぞれ片付ける場所や充電用の棚にしています。そしてドアのある3段目の棚は、家電のマニュアルや住宅関係の書類などを収納。その後ろに追加した奥行10cmのボックスは、充電コードのためのスペースです。


「後ろの壁が斜めなのでデッドスペースができてしまいますが、その隙間を利用したんです」と寺田さん。パズルのように空間を効率よく使っています。

螺旋階段を上った3階部分から2階部分のリビング・ダイニングを見下ろすと、家具のレイアウトがよくわかります。右側に見えるモジュール式のソファは、寺田さんがこの家のためにデザインした「ミッフィ」。ダイニングの椅子とテーブルはエーロ・サーリネンが1950年代に手がけたぺデスタル(1本脚)のコレクションで、特に椅子は「チューリップチェア」として有名です。さらに左の壁際には、USMハラーの白いキャビネットがあります。

白いUSMハラーを置いた壁は大きく傾いていて、この家の大きな特徴になっています。


「この建物は、2階から上に僕の家族が住み、1階には僕の両親が住む予定の2世帯住宅です。普段の生活は別々ですが、1つ屋根の下に暮らしているんだから、全体としてのアイデンティティが欲しいと思いました。そこで1階から屋根の頂点まで斜めの壁をつくる“仕掛け”をしたんです。すると室内に不思議な遠近感が生まれ、新たに考えなくてはいけないディテールがたくさんできた。予期しないチャレンジを建築家として楽しむことができました」


斜めの壁によって生じたデッドスペースもそのひとつ。そこで、やはり10cm浮かせたUSMハラー1段のキャビネットを置くことにしたのです。壁際のフレームにはハラーEのパーツを使い、壁面を照らす間接照明にしました。

こちらは寺田さんの両親が住むことになる1階のリビング・ダイニングで、2面の壁の大半をUSMハラーで構成しました。作りつけの家具を使わないルールは、この階にも一貫しています。


「寝室への開口部もUSMハラーのサイズに合わせてつくりました。僕は20年前からハラーを使ってきたので、一部のパーツはそれを再利用し、新しいパーツを加えて組み直してあります。父が趣味で集めている陶磁器も、ハラーEにディスプレイするとすばらしいものに見えますね」


扉をつける段、ハラーEの段、オープンにして使う段など、段ごとにパーツを揃えながら一部に変化をつけるのが寺田さん流のUSMハラーの使い方。L字型に組んであり、キッチンとリビングの仕切りにもなっています。

1階のもうひとつの部屋は、絵を描くのが趣味の父親のアトリエを兼ねています。天井に出た梁の下にエアコンをつけて、その下にUSMハラーを設置し、エアコンを隠すように工夫しました。エアコンはパンチングのパネルで覆われ、空気の吹き出し口にはパネルをつけていません。サイズを合わせることで、梁の存在感もなくなりました。


「少しでもずれるとエアコンの位置や梁の高さと家具が合わなくなるので、その精度を出すのは大変でした。でも結果としてとてもきれいに収まったので気に入っています。ハラーはやっぱり奥が深い。工夫すると無限にいろんなことができるんです」


実は、この階のリビング・ダイニングの部屋も同様に、USMハラーの中にエアコンが隠されていました。よほど注意深く見ないと誰も気づかないような高度なテクニックです。

この家のインテリアで寺田さんは、未来を明るく楽観的なものと考えていた20世紀半ばの家具や照明を多く取り入れました。当時を代表するヴァーナー・パントンやエーロ・サーリネンといったデザイナーの家具をはじめ、USMハラーもそれらと前後して生まれたものです。


「しかしミッドセンチュリーの空間を再現するのではなく、今の感覚でどう使うかを意識しています。僕は家具のコレクターではないし、現代のライフスタイルに50年以上前の家具がどう生かされるかを考えるのはクリエイティブなこと。その中で、当時の家具がいかに巧みにデザインされているか、新たに気づいたことがたくさんありました」

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