The “Buchli” – Visionary living

シェアラー邸の完全な改修とゲストハウスへの改装

スイス、ミュンジンゲンにあるUSM本社の社屋上方の急な斜面には、1969年から建築学的に重要な非常に独創的な邸宅が建っています。アーレ川の平原とアルプス山脈の眺望を望むことができるこの邸宅は、長年シェアラー家の住居として使用され、地籍上の地区の名にちなんで「Buchli」と呼ばれています。竣工50周年にあたる2019年に、歴史的な建築物の改装に関する厳格な条件に従って、元の建物の構造と外観を維持しながら完璧な改修が実施されました。


このシェアラー邸は、当時USM三代目経営者であったポール・シェアラーが、戦後最も影響力のあるスイス人建築家の一人であるフリッツ・ハラーに設計を依頼して実現されました。


エンジニアでもあったポール・シェアラーと、モジュラー建築システムのパイオニアのフリッツ・ハラーが1960年代初頭に出会ったとき、建築とデザインの歴史の新しい章がスイスで書かれることになりました。彼らは、20世紀後半の技術と進歩を背景に、これまでにない創造的なコラボレーションに取り組み、当時としては非常に進んだコンセプトのフレキシブルな鉄骨モジュラー建築システムを開発します。


彼らの開発した鉄骨モジュラー建築システムは、「MINI」「MIDI」「MAXI」と呼ばれる3つのタイプで確立されました。フリッツ・ハラーは、ミュンジンゲンにあるUSM本社の敷地内に新工場(1963年)とパビリオンと呼ばれるオフィス新館(1965年)を建設し、続いてシェアラー家の私邸(1969年)を建設します。


USM本社の敷地を見下ろすシェアラー邸「Buchli」は、新しいスタイルの「living with a system」のプロトタイプとして、MINI建築システムに基づく最初の住宅プロジェクトでした。MINI建築システムによる建物は、その後スイスで3棟だけ建築されました。


この家の特徴は、モジュール式コンポーネントでガラスが多様され、リビングルームと寝室が壁で明確に分離されていない、部屋にドアも窓もないスタイルでした。レイアウトは完全なグリッドシステムと可動式の壁によりいつでも変更できました。現在は、生活と住居に多様な構成が存在するので、驚くべきことではないかもしれませんが、1970年代初めには、未知の世界への大きな飛躍でした。


シェアラー邸は、戦後の社会的および建築的理念の根本的な変化を反映しています。家族は、正面の二つのテラス、シンプルな2段ベッド、そして2つの最小限の水回りのユニットがある、12x14.4mのスペースで生活しました。中からも外からもオープンな空間で、プライバシーはほとんどありませんでした。


この度の完全な改修で、以前の住宅建築はゲストハウスに改装され、USM社の来賓客のための宿泊施設として今や機能しています。


詳しくはhttps://buchli.usm.com/をご覧ください。