国際高等学校 - NUCB International College

愛知県日進市

国際高等学校は、愛知県で27年ぶりに設立された新しい高校です。少子化が進む県内で高校の新設が認められたのは異例ですが、それはこの学校がきわめて先進的な国際感覚と独自のフィロソフィをそなえているから。欧米のボーディングスクール(全寮制名門校)をモデルとして、9月入学制や全寮制といった仕組みを取り入れました。校内の公用語は英語で、卒業生は国際バカロレア校の卒業資格を得ることもできます。

その校舎と学生寮は、名古屋商科大学などと同じ敷地にあり、見事に整えられた緑の木々に囲まれています。敷地全体の面積は75万平方メートルと広大で、ゴルフ場や弓道場などの施設も充実。開校したばかりの学校なので、現在は約30名の1年生が学んでいます。

理事長の栗本博行さんは、国際高等学校の役割をこう説明します。


「愛知県には優秀な人材を生み出せる教育インフラが必要です。現在の在校生は日本人と外国人の割合がほぼ1:1で、ほとんどが関東、関西、または海外の学校出身者。日本の学生は海外の大学に進むために、海外の学生は日本の大学に進むために、この学校を選ぶケースが多いようです。こうした学校には社会的ニーズがあるのです」

完成したばかりの学生寮は、3階建ての円環状の建物です。1階にキャンティーンやライブラリーなどの共用スペースがあり、2階が男子学生のフロア、3階が女子学生のフロアになっています。寮がこの形状をしている第一の理由は、角部屋をなくしてすべての部屋の条件をできるだけ公平にすること。1フロアは36室の4人部屋で構成され、各部屋にベッドやデスクなどのほかシャワールームが設けられています。またフロアのところどころに、休息や読書ができるスペースもあります。


学生寮の家具にはUSMハラーが採用されています。栗本さんがUSMハラーに出会ったのは約20年前。スイス・ジュネーヴ空港のレンタカーカウンターで見かけたのが最初でした。その後もフランスのビジネススクール「EDHEC」など、格式ある学校でUSM製品を目にするようになった彼は、東京のUSMのショールームの前を通りかかり、偶然の再会を果たします。以来、自身のオフィスや要職を務める教育施設に多くのUSM製品を取り入れてきました。

寮の4人部屋のデスクはすべて白い天板のUSMハラーデスクで、パーティションで4等分してあります。電源コードの使いやすさにも配慮し、勉強にも趣味にも没頭しやすい小空間をつくりました。


「収納家具もいいのですが、僕はUSMハラーデスクが好きなんです。主張しすぎず、どこに置いても似合う汎用性があって、素材とサイズのバリエーションが豊富にある。またいろいろなアクセサリーがあるのでとても多機能です。縦横の比率も建築に合うように思います。

寮内の共用スペースのUSMハラーは、場所によってパネルの色を変えました。タイムレスな家具によって整然と設えた空間の中で、クロームに縁取られたUSMのデザインが際立っています。丸い中庭を囲む建物は日中を通して明るく、窓からの風景が一体感を醸し出します。

国際高等学校の校舎は1982年に竣工したもので、数年前まで短大として使われていました。リノベーションを施して、現在のような姿に生まれ変わらせたのです。オリジナルを生かした床のタイルの色合いと、USMハラーなどの家具のホワイトが美しいコントラストをつくっています。


「この敷地にある名古屋商科大学は、50年以上前にキャンパス全体がデザインされました。それから徐々に施設を増やしていき、2022年に創業者の念願だった国際的に通用する高等学校ができたのです。日本の大学に、長期的視点でキャンパスをデザインしている学校は多くありません。でも私たちは、既存のものを生かして使うことにこだわりをもっています」


一般的な企業と違い、学校の成果が可視化されるには、卒業した学生が社会に出て5年から10年以上経ってからだと栗本さんは話します。長い時間軸で物事を捉えるのは当然なのかもしれません。

以前、短大の食堂だったスペースは、高校へのリノベーションに際してメインのライブラリーへと転用されました。放射状にUSMハラーを配置して、ディスプレイ用のアクセサリーも駆使しながら、英語を中心とするあらゆるジャンルの書籍を揃えています。一部のパーツは、今までに使ってきたものの在庫を組み替えて使用しました。


「この学校は、カリキュラムも教員のクオリティも世界標準。だから家具も世界にふさわしいものを選ぶのは当然だと考えています。USMハラーの耐久性や汎用性はもちろん気に入っていますが、いちばん満足しているのはこれがいろんな国でずっと使われてきたものだということです」

美術や科学の準備室では、USMハラーの上にさまざまな教材が並んでいます。描画の題材になる石膏像が置かれた美術準備室は、棚自体がひとつのアートピースのようです。また科学準備室では、実験用の器具やガラス器が白いパネルに映えています。


USMハラーは白がいちばんきれいに使い続けられると思います。濃い色よりも傷が目立たないからです」と栗本さん。長く使ってきた経験が、こうした選択にも生かされています。


学校の中は、他にも校長室、職員室、保健室などさまざまな部屋でUSMハラーが使われています。どんなシーンや使用法であっても違和感がなく、きれいに収まって見えるのは、機能に徹した主張しないデザインだからこそです。

USMの本社があるスイスは、イギリスと並んでボーディングスクールが発達した国だそうです。栗本さんは、そんな仕事の関係もあって毎年夏にスイスを巡るのを恒例にしてきました。USM本社や工場を訪ねて、社長のアレクサンダー・シェアラーや社内のデザイナーたちとも会話したことがあるそうです。


「企業経営には3つの条件があります。それはサイエンス、つまり科学的で論理的な判断。そしてクラフト、これはものづくりの感覚を研ぎ澄ますこと。最後はアートで、内面的な感性、理念、美意識です。USMはサイエンスとクラフトが特に優れていて、あくまでそこに重心を置きながら、美しいものをつくっていますよね。家具メーカーがアートに偏ると、時代を超えることはできないと思います」


さらに栗本さんは、USMは実験を繰り返しているに違いないと語ります。


「グローバルな企業なので、各国からたくさんのリクエストがあるはずです。基本的な仕様は決して変えない一方で、彼らはリクエストを好意的に受け入れ、試行錯誤しながら改善改良をする。クラフツマンシップを感じるところです」


彼がUSMに惹かれるのは、高級感や上質感ゆえのことではありません。世界的視点をもつ教育者として、また経営者として、その価値観に見合ったものが必然的に選ばれているのです。

国際高等学校 - NUCB International College: 公式サイト


販売代理店: インターオフィス大阪


テキスト: 土田貴宏


写真: 永田忠彦 (Quarter Photography)


2022年10月(取材・撮影)